導入事例
- 京セラ株式会社
- URL:https://www.kyocera.co.jp/
- 設立:1959年
- 資本金:115,703百万円
- 従業員数:77,136名(グループ全体)
- 事業内容(機械工具事業本部):切削工具、空圧・電動工具の開発・製造・販売
- (会社概要:2025年3月31日時点)
京セラ株式会社 機械工具事業本部は、切削工具に加えて空圧・電動工具事業を展開し、総合工具メーカーとして幅広い領域でものづくりを支える事業を担っています。
同事業本部では近年、需要予測や生産管理など、業務プロセスのデジタル化を加速。これに伴い、複数の業務システムに分散したID情報をどのように横断的に管理するかが新たな課題となっていました。
こうした背景のもと、既存システムの構造を変えずに、IDの利用状況を正確かつ効率的に把握できる仕組みづくりを検討。
今回は、アカンサス導入に至る背景と導入後の効果について、機械工具事業本部 事業本部室 DX推進部 DX推進課の岸田さんにお話を伺いました。
急拡大するDXの裏でユーザー管理が複雑化していった
京セラ株式会社 機械工具事業本部 事業本部室 DX推進部 DX推進課 DX管理係責任者 岸田さん
──はじめに、岸田様のご担当領域や、導入前にどのような課題があったのかお聞かせください。
岸田さん:私は、DX推進部に所属しており、機械工具事業本部内の情報セキュリティやIT資産管理、各種業務システムの管理のユーザー管理などを担当しています。
京セラの機械工具事業本部では、2020年頃から本格的にDXを進めてきました。需要予測、生産管理、納期管理などの業務を最適化するため、さまざまなシステムを積極的に導入してきたんです。
ただ、システムが増えるにつれ、ユーザー管理の複雑化が顕著になりました。新しいシステムを導入するたびに、登録方法や管理ルールが異なり、部門ごとに運用が分かれているケースもありました。各システムでIDや権限の管理方法も違うため、同一のユーザーであっても登録情報が異なるといった状況が発生することもありました。
新規登録や申請はExcelで管理できていましたが、異動者や退職者のタイムリーな把握とアカウント管理には手間がかかっていました。
システムが増えるなかで、正確かつ一元的にIDの利用状況を把握できる仕組みを整えることは、避けられない課題になっていました。
アカンサスの名寄せや洗替機能に注目
──ユーザー管理の課題が明確になる中で、どのように解決策を探していかれたのでしょうか。
岸田さん:当初は、社内の業務支援アプリを使ってユーザー管理アプリを内製しようと考えていました。しかし、アプリ自体の学習の必要性や、汎用性にも課題があり、導入後の運用を見据えると現実的ではないと判断し、この案は見送りました。
そんなとき、同僚が「アカンサス」を見つけてくれたんです。
「これは有望そうだ」と社内で協議し、NTTテクノクロスさんへ問い合わせをしました。
製品説明を聞いたときに特に注目したのは、人事データや各システムに登録されている情報の違いや表記ゆれにも対応できるデータ更新機能や所有者紐づけ機能でした。
多くの場合、システムによって登録している情報が違うため、従業員とIDの利用状況を一元的に紐づけるためにはデータの整理が課題でした。
具体的な例をいうと、同じ人物でも、システムによって登録されている属性情報が異なっていたり、姓名の空白があったりなかったり、なかにはローマ字表記で登録しているユーザー名などもありました。
アカンサスの名寄せ機能は、こうした差異を吸収しながら主キーを基準にデータを最新化できる点が非常に有効でした。
また、各ユーザーが持つシステム権限を一覧で見られるのも便利で、「まず入れてみよう」という判断に至りました。
──導入を進める際には、当社とも様々なやり取りをさせていただきましたが、その点はいかがでしたか?
岸田さん:はい、自社のデータ事情や疑問点について、NTTテクノクロスさんに電話やメールで細かく教えていただきながら仕組みを整える事ができました。
「こういう運用をするなら、この方法があります」といった現場目線の具体的なアドバイスをもらいながら、データの取り込み方法や運用方法を固めていくことができ、とても助かりました。
──そう言っていただけて光栄です。少しでもお力になれていたなら嬉しいです。
多拠点・多様な雇用形態・多部署をまたぐID管理の効率化
──アカンサスの導入後、どのような変化がありましたか?
岸田さん:現在は、毎月人事データを入手して組織ツリーを更新し、その後に各システムのユーザーデータCSVをアカンサスに取り込む流れで運用しています。
アカンサスの洗替機能により、最新の人事データで既存登録情報を上書きできるため、常に最新の状態を維持できるようになりました。
その結果、全従業員を網羅しつつ、国内工場3拠点と営業所16拠点を手軽に管理できるようになりました。
以前はシステムごとに異動者や退職者の情報を突き合わせる必要があったんですが、アカンサスを導入してからは更新の手間が大幅に減りました。
さらに、ID管理以外にシステム経費の部署間の按分作業にも役立っています。
当社はアメーバ経営の考え方に基づき、発生する経費も部署ごとに割り振っています。以前は複数のリストを手動で突き合わせて、部署別に経費を割り振っていました。
今は、アカンサスで組織情報と紐づいたユーザー情報から自動的に部署別の利用状況を把握できるようになり、按分作業の手間が大幅に軽減されました。
また、各システムの利用状況や権限の見える化が進んだことで、ID管理全体の精度も向上しました。
作業工程に携わるメンバー一人ひとりがシステムの活用を前提にした改善に取り組むようになり、自分の仕事をラクにするためにはデジタルツールを使うという意識付けができたと感じています。
一方で、システム利用者が増えることで生じるセキュリティリスクに確実に対応するため、アカンサスによるユーザー管理の重要性はますます高まっています。
セキュリティリスクの軽減効果は確実に得られていますし、ユーザーからの問い合わせ対応も適切に対応できています。
費用をかけてアカンサスの年間契約を継続するなかで、社内でもユーザー管理の大切さが認識されてきています。
──継続してお役に立てるよう、引き続き改善を進めてまいります。
ID棚卸の活用と、IT資産管理の応用へ
──最後に、今後の計画やアカンサスに期待することを教えてください。
岸田さん:現在、アカンサスをIT資産の管理にも応用しています。
既存のIT資産管理システムと連携し、アカンサスに資産情報を取り込むことで、人とIT資産の紐づけをより精緻に管理できるようになりました。
アカンサスのいい点の一つに、ユーザーが異動や退職をすると、所有者として紐づいているIDやIT資産の状態も自動的に変わる仕組みがあり、それを活用しています。これにより、人とIT資産の紐づけから、対応すべき対象がすぐ分かるようになり管理ミスを防ぐことにもつながっています。
──ID管理だけでなく、資産管理にも波及効果が出ているのですね。
岸田さん:はい。そして、今後はアカンサスが持つ各部門へのIDの状態を照会できる機能「ID棚卸」を使った運用体制を構築したいと考えています。
──最後に、現在アカンサスを検討中の会社様に何かポイントなどあればお聞かせください。
岸田さん:はい、アカンサスは組織データの整備状況が鍵になると思います。
アカンサスの導入は、データ整備が不十分な企業にこそメリットが大きいと思います。導入を機に人事データとの連携を密にして、社内のID管理のあり方を見直せるので、長期的な価値は非常に高いのではないでしょうか。
──ありがとうございます!引き続き、アカンサスがお役に立てるよう、いただいたご意見を参考に改善を進めてまいります。岸田さん、本日はお話いただきお礼申し上げます!