導入事例

ID管理をシステム単位から「人」単位へ。
ID管理をシステム単位から「人」単位へ。
電気興業株式会社
URL:https://denkikogyo.co.jp/
設立:1950年
資本金:87億円7,478万円
従業員数:1,067名(連結、2025年3月31日現在)
事業内容:電気通信関連事業、高周波関連事業、その他事業

電気興業株式会社は、創業75年にわたり通信・放送・防衛などの電気通信関連分野や自動車などの高周波関連分野を長年支えてきた企業です。

オンプレミスの業務システムを多く抱える同社は、ID棚卸工数に課題があり、その解決のために各システムのデータをそのまま取り扱える柔軟性を備えた「アカンサス」を導入。その背景や導入後の変化について、コーポレートガバナンス管理部 中村さんと同所属の岩瀬さんにお話を伺いました。

ID棚卸の準備に1カ月近くかかっていた。

電気興業株式会社 コーポレートガバナンス管理部 シニアスペシャリスト 岩瀬さん

電気興業株式会社 コーポレートガバナンス管理部 シニアスペシャリスト 岩瀬さん

──はじめに、アカンサス導入以前に抱えられていた課題・お悩みについてお聞かせください。

岩瀬さん:当社は、2006年頃よりJ-SOX対応の一環としてIT統制に取り組んでいて、その中でもユーザIDの管理は重要なテーマでした。報告の正確性を担保するためには、システムの変更履歴だけではなく、ユーザIDの改廃についてもきちんと管理しておく必要があります。特に異動や退職のタイミングでは、監査の観点からも正確な棚卸が求められます。

それを踏まえて、当社では少なくとも年4回はID棚卸を実施する方針を取っていたんですが、その準備作業がかなり大変でした…。業務システムの多くはオンプレで、各システムからIDリストを出力して人事情報と突き合わせるという作業が発生します。これだけで、1回の棚卸準備に1カ月近くかかることもありました。

──工数がかかっていた事情はどのようなものでしょうか

中村さん:はい、従来はシステムごとに出力したIDリストをExcelなどで整形し、各拠点の部門に送付して、退職者・異動者の有無や権限変更について確認を依頼していました。棚卸のたびにシステムごとに初めから作り直していたため、棚卸の回数を重ねても、時間の短縮はほとんど見込めず、作業ミスと隣り合わせの状況で対応していました。また、作成した複数システムのアカウントリスト確認も手作業で行っていたため、時間がかかるだけでなく、在籍者の照合においても漏れが生じる可能性が常にありました。

しかも、限られた人員で回していたので、業務負荷も大きく、運用そのものに限界を感じ始めていました。

電気興業株式会社 コーポレートガバナンス管理部 情報管理課長 中村さん

電気興業株式会社 コーポレートガバナンス管理部 情報管理課長 中村さん

ID棚卸に特化し、オンプレの業務システムでも柔軟にID管理を実現できる点が決め手に。

──アカンサス導入の決め手は何でしたか?

中村さん:情報収集開始当初はWeb検索や展示会を通じていろんな製品を検討していたんですが、ほとんどの製品がSaaSのユーザIDを管理するツールでオンプレ中心の当社に合うものがなかなか見つかりませんでした。オンプレを管理しようとすると、カスタマイズ前提になってしまうツールが多くて。カスタマイズする場合も、指定のフォーマットにデータを整える必要があったりして…「これではむしろ手間が増える」という懸念がありました。

そんなときに、メンバーから「こういうのあるよ」と紹介されたのがアカンサスでした。

ID棚卸に特化していて、各システムから出力したIDリストをそのまま取り込める点や、既存のシステム構成を変える必要がない点が非常に魅力的でした。Excelでの手作業が中心だった私たちの運用にも無理なく組み込めそうだと感じ、「これなら現実的に使える」と導入を前向きに検討し始めました。

加えて、ライセンス体系がシンプルな点もいいなと思いました。管理対象のシステム数やそのID数にかかわらず一定の料金で利用できる点は、将来的な拡張や予算の立てやすさという面から好印象でした。

棚卸準備が数日から30分程度に短縮。「誰がどのIDを持っているか」が一目瞭然に。

──アカンサスの導入後、どのような変化がありましたか?

中村さん:一番の変化は、棚卸準備の作業時間が劇的に短縮されたことです。

以前は、各システムからIDリストを出力・突合し、Excelでまとめて部門に展開するまで数日かかってたんですが、今ではスクリプト実行だけで30分で終わるようになりました。作業の手順自体が根本から変わりました。

また、大きな変化は、ID管理の見方が『システム』から『人』を軸とした視点へと移行した点でした。以前は『このシステムを誰が使っているか』という視点でしたが、アカンサス導入後は『この人がどのシステムのユーザIDを持っているか』を一覧で確認できるようになりました。

岩瀬さん:退職予定者の確認も非常にスムーズになりました。退職予定者が、どのシステムに・どのIDを持っているかが画面上で一目で確認できるようになり、不要アカウントの削除もスムーズになりました。

「人を軸とした可視化」を貸与機器の管理やグループ会社にも展開。

──最後に、今後の計画やアカンサスに期待することを教えてください。

中村さん:実はアカンサスを「ID棚卸やアカウント管理」だけでなく、社員に貸与される携帯電話やPCなどの機器管理にも広げたいと考えているんです。

アカンサスが得意とする”人を軸とした可視化”って、ユーザIDだけじゃなく貸与物の管理にもそのまま応用できるため、すでに社内で具体的な検討を進めているところです。

例えば、携帯やPCを社員ごとに紐づけて可視化すれば、「誰がどの機器を使っているか」を常に一覧で確認できるようになります。そうすれば退職や異動時の機器回収漏れや管理の抜け漏れ防止にもつながると考えています。これは、人とIDの関係を可視化するというアカンサス本来の仕組みを、そのまま物理資産に応用する考え方です。

さらに、弊社ではISO27001認証の対象にグループ会社も含まれているので、今後はグループ全体でのガバナンス強化にもアカンサスを活用していきただいと考えています。

アカンサスは、オンプレの業務システムを多く抱える企業ほど、その恩恵を強く感じる事ができると思います。社員に紐づく情報を統合的に管理できるっていうのは大きな魅力で、初期投資に対して十分な効果が期待できると実感しています。

──IDだけではなく機器管理まで含めた”可視化”という視点に対して、弊社も視野を広げながらアカンサスをさらに強化していきたいと思います。中村さん、岩瀬さん、貴重なお話をありがとうございました!

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