ID棚卸で一番時間が掛かる「データの整理・修正」。効率化する方法は?

2021/06/25
記事

ID棚卸を実施する際に最も時間がかかるとされているのが「データの整理・修正」です。従業員情報は部署ごとに異なる記載ルールで管理されていたり、業務システムのID情報には、考慮が必要なIDに対するメモが登録されていたり、複数のシステムを確認してもらいやすい一覧にまとめるには大きな手間がかかります。本書ではID情報を効率的に整理する方法について紹介します。

目次

ID棚卸はどうして大変なのか?

セキュリティや情報漏洩への対策からIDの棚卸は非常に重要です。しかし、IDの棚卸には非常に多くの工数がかかり、十分な対応ができていないという声も少なくありません。本章では、ID棚卸に手間がかかる工程と、工数がかかる理由について紹介します。

ID棚卸の工程とは

ID棚卸を実施する場合、棚卸担当者が実施する内容は大きく分けて以下の3つです。

・ 従業員(人)と、棚卸したいIDの情報収集
・ 各部門への提示用に情報整理
・ 全部署への確認依頼・FAQ対応・進捗管理

上記の工程の内、特に「各部門への提示用に情報整理」に時間と手間がかかります。各部署やチームへ利用状況を確認するだけと思われがちですが、どのような部分で手間がかかってしまっているのでしょうか。

特に「各部門への提示用に情報整理」が大変な理由

「各部門への提示用に情報整理」が大変な理由として最初に挙げられるのは、「従業員(人)と管理対象システム上のIDデータの情報収集」で収集されたデータを統一することです。これらのデータは管理元の部署やシステムによって管理項目が異なってしまうケースは少なくありません。また、同一項目であったとしても、氏名や部署名・システム名等の表現が異なる場合がございます。そのため、これらの情報を参照するために、データを一定の形式に統一する必要があります。

また、「入退社による人員の増減」や、「部署統合等による部署名の変更」、「同一人物の役職変更」など、データとして最新の状態か把握しにくいこともあり、棚卸担当者は人事情報をもとに最新の情報を何度も確認しながら作業を進める必要があります。

これらの作業は対象となる従業員やシステムが多ければ多いほど煩雑で困難な作業となります。このような手間のかかるID棚卸のための情報整理の効率化を進めるための方法を次章で紹介します。

ID棚卸のためのデータの整理・修正を効率化させる方法は?

ID棚卸のための情報整理をする際に担当者様がすぐに実践できる効率化の方法として代表的なものをいくつか解説します。

データ整理・名寄せに使える関数を利用する(Excel利用者向け)

多くの企業が、ExcelでID棚卸に用いるID台帳を作成していらっしゃいます。本章では、ExcelでID台帳管理する場合に、地味に整理に時間がかかるポイントと、それぞれのケースに対する代表的なお役立ち関数をいくつか紹介します。

【整理】全角・半角の統一(全角文字を半角に(ASC関数)/半角文字を全角に(JIS関数))

運用しているシステムや管理している部署によって、半角/全角が統一されていないことはよくあります。 同じ従業員を示していても、半角/全角が統一されていないことにより、名寄せ時の検索に該当しない場合があるため、半角/全角の表記を統一する必要があります。

このような場合は、全角文字を半角に統一するASC関数や、逆に半角文字を全角に統一するJIS関数の活用が便利です。

【整理】不要なデータの削除(スペース(TRIM関数)/改行(CLEAN関数))

同一人物の名寄せは、データ内に余計なスペースや改行が含まれていたりすると発見漏れを招きます。各セルのスペースや改行について人力で修正・確認しようとすると、非常に多くの時間がかかってしまいます。

このような場合は、TRIM関数(スペース削除)やCLEAN関数(改行削除)を使用することで、漏れを簡単に防ぐことができます。

【整理】セルの一部を抜き出す(RIGHT関数/LEFT関数/MID関数)

ID整理をしていると、各セルの冒頭4文字や下4桁のみを抽出し、利用しているシステムや利用者の識別をしたいケースもあります。その際、各セルを目視で確認したり、手動で抽出したりしていると多くの手間と時間がかかってしまいます。

このような問題についてはRIGHT関数、LEFT関数、MID関数が便利です。これらの関数を用いることで、各セルに入力されている文字列の一部を抽出することが可能となります。

【整理】複数のセルを1つのセルに(CONCATENATE関数/&演算子)

別々のセルに「姓」と「名」の記載があり、これらをまとめて「氏名」として表示させたい場合、手動でコピー&ペーストをしたり、入力したりしていると、手間がかかってしまいますし、ミスも発生しやすいです。
このように、複数のセルの情報をまとめたい場合には、CONCATENATE関数や&演算子を用いることで、簡単にまとめることができます。

【名寄せ】指定条件を満たすデータを抽出する(VLOOKUP関数/IF 関数)

これまでに紹介した関数を活用し、表記の統一を行えたとしても、ある条件に応じた情報を抽出する際に、毎回フィルタや検索などを用いて情報を抽出していると、非常に手間がかかります。

このような任意の条件によって、情報を抽出したい際には、VLOOKUP関数/IF 関数が便利です。この関数を用いれば、どの部署でどのシステムを使っているかなどさまざまな条件を設定し、検索・抽出を行うことができます。

部署など、表現の一元化

上述したような関数を用いても、取得したデータの管理元により部署や氏名の記載方法が異なっているため、表記に揺らぎが生じてしまうこともあります。特に、雇用形態が正社員ではない従業員の場合、IDの管理は部署ごとに任されていることも少なくはないため、記載方法がバラバラになってしまう可能性も高いです。

そのため、表記や入力の揺らぎとなりやすい、氏名における常用外漢字の記載方法(斎藤、齋藤、斉藤)や組織名称の記載方法などを整理し、表現の一元化ができるようなルールを設けるなどの工夫が重要となります。

組織コード・システムコード・社員番号の作成・付番

管理している情報が少ない場合は、組織名や社員名などの固有名詞をID利用者の特定に利用していても、十分に管理できる可能性はあります。しかし、IDの数は日々増加しており、名称表記も部署の統廃合により変更する場合も考えられます。また、文字列の場合、管理する人によって表記揺れが発生することも多いです。
突合を行う際には、変更頻度の高い文字列情報をトリガーとするのではなく、ユニークな値である組織コードやシステムコード、社員番号などを作成・付番し、これらをトリガーとすることで、データ整理の効率を向上できます。

全従業員・利用システムのマスターデータを作成

さまざまな情報源をもとに、従業員一覧を作成し、利用者をチェックするという作業は非常に多くの手間がかかります。その理由としては、複数の情報源がある時点で、情報の突合や統合、重複情報の削除などのデータ整形が必要となるためです。入退社や部署異動の内容が各情報源で正しく更新されていなければ、どの情報が正しいのかを確認する手間も発生してしまいます。

このような手間を回避するためには、一元管理されたマスターデータを作成し、常に参照すべきマスターデータが整備された状態を整えることが重要です。一元的に管理を行うことで、入退社・部署異動などの最新情報を反映させることが容易となることに加えて、新システムや使用を取りやめたシステムの最新状況もリアルタイムに把握しやすくなります。

本章で紹介した方法を採用することで、ID棚卸の際の情報整理は、従来よりも効率的に行うことが可能となります。しかし、従前の方法から今回紹介した方法に移行する行為そのものの負担が重く、なかなか実施に踏み出せないという方も多いかと思います。
このような負担を大幅に軽減させるためには、ID棚卸に関するツールの活用がおすすめです。

アカンサスなら情報をそのまま投入して一元管理が可能

アカンサスでは、手持ちの情報をそのまま投入するだけでバラバラだった情報を一元管理することができます。部署の表記ゆれのある異なるフォーマット間であってもアカンサスが統一してくれるため、ID棚卸で一番時間のかかる「データの整形」の手間が大幅に軽減されます。

ID情報の一元管理を実現するアカンサスの詳細は下記ホワイトペーパーで紹介していますので、こちらもあわせてご覧ください。

おすすめ資料
マスタ作成から突合確認まで全プロセスを一元化
「ID棚卸の新常識、Excelに頼らないID管理術」

Work illustrations in this article by Storyset

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