人事異動の度に大変な ID管理。次回のID棚卸を楽にするためにできることとは?

2021/06/03
記事

テレワークの普及に伴い、クラウドサービス(SaaS)の利用が増加している昨今。
利用システム数の増加に比例して管理するIDが増加し、ID管理業務の負担が増え続けています。
本記事ではこれらの管理業務を効率化するために普段の運用でできる工夫とお勧めのID棚卸ツールについて紹介します。

人事異動の度に大変なID管理業務。負担が大きくなる5つの要因

ID管理業務は、負荷が大きくなってしまう要因を把握することが重要です。各要因に適切な対策を取り入れることでIDの管理の状態を客観的かつ正確に掴めるようになり、効率化のための工夫を最大限活用できます。 ここでは、ID管理において負荷の要因となる主な5つのポイントを解説します。

「日々のID管理業務」における負荷の要因

理由1:入退社・異動に伴うアカウント対応は機械的にできない要素が多い

新年度は入社人数が1年間で最も多く、ID登録・変更対応が急激に増加するため、情報システム部には大きな負荷がかかります。
また、年度末は退職者が最も多い時期であり、削除すべきIDも増加するため登録・変更と同時に削除点検も必要です。
加えて、4月は大規模な体制変更も多く、異動/出向/転籍などそれぞれの事情に合わせてID情報も変更しなければなりません。
異動の場合は前部署の業務引き継ぎ期間を考慮したり、出向の場合は戻ってくることを考慮した対応が必要となったりと、機械的に対処できない要因が多く含まれます。

理由2:部署主管での、SaaS利用が増え続けている

テレワークでの働き方は今後も続くことが予想され、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進も加速していく中で、クラウドサービス(SaaS)利用の一般化はますます拡大していくと考えられます。
SaaSの活用は業務の効率化に極めて有効である一方で、IDが増加し、管理負担が大きくなる要因にもなります。
また、SaaSは導入がしやすく少人数から個別契約が可能ですが、同時にそれらの管理は契約した組織が主体的に実施する必要が出てきます。
その結果、情報システム部やセキュリティ推進部は各部署が個別契約したSaaSの「ID運用が適切に行われているのか」といった確認が必要になり、コミュニケーションコストが増えることも課題です。

確認負担の大きいSaaSのID。管理をラクにする方法は?
SaaS上のID管理方法に関する記事は
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「棚卸業務」における負荷の要因

理由3:各利用部署に確認が必要なため、時間がかかる

ID一覧を基に各部署の代表者や社員に確認してもらうには、部署向けに確認用Excelを作るといった情報整理が必要であり、ID棚卸時に大きな負荷がかかります。 また一般的に、利用者の中には兼務や一時的に利用する方も存在するため、複数の部署を跨ぐ必要があります。
そのため、確認完了までに時間がかかることや、質問対応などのコミュニケーション負担が発生してしまうこともID棚卸の負荷が大きくなる要因となります。

理由4:前回の棚卸情報の引き継ぎ、整理ができていない

多くの企業では、管理対象システムからID一覧をエクスポートし、それを基に棚卸を実施しています。この方法は最新のID情報を確認するには有用ですが、前回の棚卸情報は含まれないため、過去の作業履歴は人手で探す必要があり、膨大なIDを前に大きな負担となります。
また、IDの棚卸を行う頻度は年に1回としている企業も少なくありません。そのため、整理が必要なデータには1年分の情報が含まれており確認量の肥大化にもつながってしまいます。

理由5:Excelでの手作業/目視確認が必要となり、手間もミスも発生する

Excelに代表される表計算ソフトを用いた台帳管理は、人手による作成/管理となることと、各部署での目視確認によって運用していることからIDボリュームが多くなればなるほど、手間がかかり、正確性も低下してしまいます。

ID棚卸の進捗が悪い…その理由とは?
ID棚卸の進捗をスムーズにする改善策についての記事は
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これら5つの要因からID管理業務の負担は大きくなっています。
そこで次章では、増え続けるID棚卸の負担に対応するための工夫について見ていきましょう。 この工夫を日々の運用に取り入れることで、業務の効率化を図れます。

次のID棚卸に備えて、いまからできる業務効率化の工夫

ID棚卸を効率化するために日々のID管理運用で取り入れられる工夫がいくつかあります。情報を確認しやすいようにしたり、可能な箇所は自動化したりすることで工数を削減することが重要です。
具体例として、主なポイントを3つ紹介します。

表記/入力方法のゆらぎ予防

ID棚卸時に、多くの企業様が最も苦労されるポイントとして「ゆらぎ問題」があります。
従業員情報がシステムで一元管理されていれば問題ありませんが、管理元によって部署や氏名の記載方法が違い、表記/入力のゆらぎの原因となってしまうことが多いです。特に、正社員以外のメンバが利用するIDは各部がExcel管理していることが多く、記載方法がバラバラになりやすい傾向にあります。そのため、記載方法を整理し日々の運用では正規化された更新ルールが重要です。

【間違いやすい入力内容例】
・氏名における常用外漢字の記載方法(例:斎藤、齋藤、斉藤)
・組織名称の記載方法(組織コードがある場合は、組織コードを使用する方が良い)

確認観点の整理、マニュアルの作成

ID棚卸時は、回答者に対する確認の観点を具体的に整理しておくことが重要となります。理由は、個々に解釈を許す確認の仕方をすると、IDの継続利用の有無に対する回答がバラけてしまい情報システム部の整理の手間が増えるだけでなくセキュリティリスク拡大にもつながるためです。 そこで、日々の運用でできることとして「どういうID利用がリスク」で、「どのような運用ならOK/NGか」を整理しておくことを推奨します。他社様事例からご紹介すると、「共有IDに対する制限付き利用許可例/NG利用」、「高権限の付与条件」や「ID無効化するタイミング」などの情報整理が該当します。これらの情報を後々のID棚卸時に活用することで、利用者自身で解決できるケースを増やし、管理者側の手間や工数削減にもつながります。

確認作業を効率化する関数の活用

「退職者の削除漏れIDがないか?」「異動に伴い、業務上不要になったIDがないか?」といった対処が必要なIDを抽出できるように、関数化する+それに必要な属性管理を日々実施するという点は、地味にみえて業務負荷省力化に非常に有効です。ただし、関数やマクロの多用な活用は、スキル依存要素があり、台帳管理が属人化する傾向があります。
そのため関数やマクロの活用は、自身以外の従業員も理解できる状態にするよう注意が必要です。

ID棚卸ツール活用による業務効率化のすすめ

前章で紹介したような業務効率化の工夫を行なっても、課題は多く残っており、ID棚卸ツールを使わない方法には限界があります。 そこで、本記事で紹介した課題を解消するのにおすすめのID棚卸ツール「アカンサス」について紹介します。

「アカンサス」なら1ヶ月以上かかるID棚卸が1週間に

ID棚卸は、作業者にとってのメイン業務ではなく、利益を生む業務でもないため優先度は高くありません。しかし、前述の通り地味に負担が大きく、後回しにすると人事異動の度に業務が大変です。
そこで、ID棚卸ツールの利用による自動化で、人手のかかる工数の削減が求められます。「アカンサス」を利用すれば、1ヶ月以上かかっていたID棚卸業務を1週間に短縮(75%削減)可能です。

「アカンサス利用」のメリットについて

各IDの所有者をアカンサスが自動的に整理するため、従来、人が行っていた棚卸業務にかかる時間が圧倒的に短縮することができます。また、ツールが多くなると利用者の把握していないID情報も生まれてしまいがちですが、アカンサスでは、利用者の候補も提示するため、IDの発見にも役立ちます。
アカンサスでは前回行った棚卸情報を基に、棚卸を実施するため、すべてのIDを毎回ゼロから確認する必要がなくなり、業務の負荷を軽減することができます。 人によるチェックを完全になくすことは難しいですが、管理者の他に情報システム部をはじめとした第三者による状況確認を通じて、クロスチェックも可能となり、棚卸の正確性も向上させることができます。
「ID管理業務の負荷を減らしたい」「メイン業務が忙しく、手が回らない」といった企業様には、「アカンサス」の紹介資料をぜひご一読していただければと思います。

おすすめ資料
マスタ作成から突合確認まで全プロセスを一元化
「ID棚卸の新常識、Excelに頼らないID管理術」

Work illustrations in this article by Storyset

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